ここ17年くらい、研究者(特にPh.D.取得者)のキャリア構築支援を続けている、かずさん改め老田宗夫です。
どうして続けているのかについて、今回は記述していきたいと思います。
- アカデミアの世界では民間企業就職者は負け組⁈
- 負け組のノウハウは継承されない⁈
- 今こそ研究者の経験があらゆる場で活かせる時⁈
- 優秀な人が海外に流出してしまう⁈
- キャリアコンサルタントの存在意義
- 新たな支援が必要になるのではないか
- 安心して研究者になれる世界
アカデミアの世界では民間企業就職者は負け組⁈
最近は、特にコンピュータサイエンスの分野では民間企業経験者が、アカデミア(※1)で研修者として活躍するケースも増えているようですが、依然としてアカデミアの世界では、アカデミア外での経験は積んでいない人がほとんどです。
研究者としての才能があれば、アカデミアの中でキャリアを構築していくことが当たり前であり、能力が不足している研究者が負け組として民間企業に就職する。
研究室のTOPにいる人は、こういった考え方の人がほとんどです。
そういった雰囲気の中で民間企業に就職しようとする研究者は、自分のことを負け組だと思ってしまうことも少なくありません。
でも本当にそうなのでしょうか。
受験戦争に勝ち、研究者として成果をあげた人が負け組である筈はないのです。
もし負け組だと思ってしまった研究者がいたら、自信を取り戻し、前向きな気持ちで民間企業に就職してほしいと願っています。
※1:アカデミアとは、大学や研究機関など、学問・研究が行われる世界全体を指す言葉です。

負け組のノウハウは継承されない⁈
前述のように、アカデミアの世界では民間企業に就職する研究者は、厳しい研究者の世界から逃げていくという雰囲気があるため、本来であれば研究室の中で継承されるべき就活のノウハウや求人情報を話すという機会は生まれません。
従って、後輩達はノウハウや求人情報が0の状態から就職活動を始めることを余儀なくされます。
これって不幸だと思いませんか?
であれば、私がノウハウや求人情報の受け渡し役として機能しようと思ったわけです。
今こそ研究者の経験があらゆる場で活かせる時⁈
ICTの発達を中心とした「第四次産業革命」が加速する中で、今までの事業領域・技術領域の範囲では収まらない企業が増えつつあり、新しいイノベーションを創造していかなければならない時代が待ったなしでやってきています。
VUCA時代(※2)と呼ばれている概念ですね。
中長期で掲げた方針が、一つの技術革新ですべて吹き飛んでしまうようなことも今後増えていくことでしょう。
過去のノウハウや知見が意味をなさなくなり、そこにある課題を技術力や創造力で解決しなければならない場面において、0から1を生み出す訓練を受けている研究者は、きっと力を発揮できると思います。
※2:変化が激しく、過去の経験だけでは未来を予測しにくい状況「先が読めない、不安定で複雑な時代」を指す言葉です。
優秀な人が海外に流出してしまう⁈
とある企業に訪問した際に聞いた話では、某学会で研究発表を行った研究者は、翌年学会から姿を消してしまうのだそうです。
その理由は、研究発表を聞いた某外資系企業が学会発表した研究者を片っ端からスカウトして採用していってしまうのだとか。
その企業は学会に在籍することを禁じているので、翌年には全員学会にはいなくなってしまう、と言うのが、人が消える事象の真相です。
もちろん誇張されている部分はあると思いますが、この話を聞いて「日本企業は完全に出遅れてしまっているのではないか!」と勝手に危機感を感じてしまいました。
情報を流動化させて、日本企業でも研究者が求められていることを伝え、日本の企業で活躍する研究者を増やせないだろうか?
もちろん、日本の一部の大手企業は「学会での講演の後にヘッドハンティング」というような手法ではなくて、違った方法で、所謂「青田買い」は行っているみたいです。
「奨学金」に近い制度を活用したり、インターンと組み合わせたり。
しかし、こういった活動は大手企業にしかなかなか出来ないことですので、キャリアコンサルタントとして、日本社会の発展に貢献できるのは、まさにこういう場面ではないかと思うわけです。
キャリアコンサルタントの存在意義
前述のような時勢の中で、企業に必要とされるスキル・経験(研究成果)を持っているか否かで、大きく二極化していくことが予想されます。
企業に即戦力として必要とされる技術スキル・研究成果を持っている研究者は、今まで歩んできた分野での民間企業就業ができる機会は増えると思います。
一方で、文系や基礎研究などの分野の研究者は、研究で培ったスキルや実績というよりは、博士が持っている基礎能力をアピールしていく就活方法になると思います。
基礎能力以外でも「データ解析スキル」や「AI活用スキル」といった、道具として最先端のデジタル技術を活用した経験は、例え研究内容とは離れていても、即戦力として評価される例も増えてくるでしょう。
そう聞くと、研修者の採用ニーズは高まっているわけですが、私はそれだけでは不十分だと考えています。
アカデミア在籍の研究者のニースが増えているにも関わらず、民間企業へ就職するケースが思ったように増えていない最大の理由は、多忙を極める研究者が「就職・転職」活動を行う為の時間を割くことができずに、結果民間企業の情報をほとんど得ることが出来ない状況でキャリアを選択せざるを得ないことにあります。
また何とか時間を捻出して「就職・転職」活動をおこなったとしても、
「研究分野の情報は採用企業の守秘性が強いことから、自分自身の研究を活かす場を探すことができない」
「アカデミア以外のキャリア構築について検討する経験が少なく、そもそもどのような企業があるのかも知らない」
「学士・修士が行っている一般的な就職活動や、民間企業で働いているエンジニア・研究者が行っている転職活動とは、活動時期や入社時期といったような時間軸が合わない」
などといった問題を多く抱えることとなり、最終的には活動を断念してしまうケースも少なくありません。
その結果、ニーズがあるにも関わらずアカデミア在籍の研究者が民間企業への就職をする機会が生まれていないという状況が続いており、そこの根本的は解決が必要となると考えるわけです。
新たな支援が必要になるのではないか
SNSなどのソーシャルメディアを通じてリクルーティング、採用活動を行うソーシャルリクルーティングという分野も復旧していますが、研究者にはまだまだ浸透していない印象です。
理由として考えられるのは
「個人情報を事細かく登録する時間がない(面倒だ)」
「一度登録すると、興味のない企業からもやたらと連絡がくるので鬱陶しい」
「そもそもそういったサービスがあることを知らない」
といったところでしょうか。
アカデミアに在籍している研究者にとって、研究成果を世の中に広く告知していくことが務めですから、企業が必要としている研究成果をあげた人をOPENになっている情報から調べる術はあります。
研究者が研究成果をあげることにより、アカデミア側だけでなく、民間企業からもお声がかかるという時代が実現すれば、安心して研究者としての道を進むことができる社会が実現すると考えています。
安心して研究者になれる世界
アカデミアに在籍する研究者にとって、キャリアの多様化が進めば、安心して研究者の道を進むことができるようになり、日本の産業界も活性化すると思います。
つまり、研究機関が「出口戦略」がしっかりと整えるということは、新しく研究機関で働こうとしている研究者が安心して研究機関に入ってくることができる体制が整うことに直結しています。
その実現こそが長期的な組織の活性化につながっていくという考え方です。
研究機関で培ったことが民間にも伝わり、交流が活性化することで日本産業界全体のレベルが上がっていく。それこそが最終的に実現したいなと思っている方向性です。
そんな壮大な目標が自分一人で実現する筈はありません。
但し、今後自分がキャリアコンサルタントとして活動していく根底として、ずっと忘れないでいたいと思いましたので、備忘も兼ねて綴ってみました。
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私の投票した方、政党は残念な結果だったのですが、まぁそこは人それぞれの判断ですから。
