料理は化学 煮込み料理でよく言われる料理法の根拠について調べてみた

お題「もっと早くやっておけばよかったと思う事」

料理はついつい目分量でやってしまうかずさんです。

ですので、お菓子作りは苦手です。

お菓子って、ほんの少しでも分量や温度や作り方をミスると失敗するじゃないですか。

以前、スポンジケーキを作るときも温度をミスってふわふわになりませんでした。

www.kazusanuchisan.com

料理は化学である。

いろいろな料理テクニックは化学的な根拠があるわけで、調べてみたくなってしまったので、せっかくだからブログでも紹介したいと思います。

煮るとは破壊

ます前提として、煮物料理は破壊だということを理解しなければなりません。

ほとんどの食材の細胞膜は、一部の成分は通しますが、他の成分は通さない「半透膜」です。

破壊される前に自由に移動できるのは水だけです。

そのため、煮汁の成分が食材にしみこむのは容易ではありません。

しかし、加熱すると組織が壊れて細胞膜の半透性がなくなり、煮汁の成分が移動できるようになる。

食材に調味料が入るだけでなく、食材の成分も煮汁に溶け出してしまいます。

これをどのように操っていくのかが煮物料理です。

浸透圧とは

浸透圧を簡単に説明すると、うすい液から濃い液のほうへ半透膜を通して移動するときに生じる圧力のことを指します。

つまり、半透膜を境にした水溶液が、同じような濃度になろうとするのです。

これを料理の世界で表現すると、加熱によって半透膜が壊れる前に食材を煮汁に入れて煮込むと、食材の細胞から、浸透圧の作用で水分が抜けて固くなってしまうということになります。

濃度の差が大きくなればなるほど浸透圧は大きくなります。

きゅうりに塩を振るとしんなりするのは、浸透圧によってきゅうりの水分が外に出てしまったために起こっています。

また、浸透圧は温度も関係しています。

一度食材から水分が抜けた後、煮汁の温度が下がってくると、水分は食材の方に戻ろうとします。ここで、加熱によって半透膜が壊れていれば、砂糖や塩などの成分も食材に入り込むことができるようになります。

砂糖と塩のいれる順番

砂糖を塩より先に入れるのは、砂糖のほうが食材にしみ込む時間がかかるからです。

塩(分子量58の塩化ナトリウム)は砂糖(分子量342のショ糖)よりも分子量が小さいため、移動する速度が砂糖よりも早い。

砂糖に比べて約4倍の速さで食材の方に入っていく計算になります。

塩を先に入れてしまうと、食材の中に塩が入り込んでしまい、砂糖の入る余地がなくなってしまう。

だから、甘味がしみ込みにくくなるのです。

魚の煮汁は少なく短時間で

煮魚では、調味料を先にすべて入れ、煮汁を沸騰させてから魚を入れると良いとされていますよね。

これは、うま味が食材から溶け出すことを防ぎながら、且つ身が締まって固くならないように短時間で仕上げるためです。

沸騰した煮汁の中に魚を入れると、熱によって魚の表面のタンパク質がすばやく固まります。

この作用により、魚のうま味成分を含んだ肉汁が煮汁に溶け出すことを防ぎます。

また、煮汁の量が多いと魚からのうまみ成分の流出が増えてしまうので、煮汁はなるべく少ないほうがよいそうです。

だから、落し蓋を使うんですね。

こうすれば、煮汁が少なくても蓋を伝わって魚の上の方まで煮汁がかかって、ひたひたに浸かっていなくても全体に味を付けることができるんですね。

落し蓋ってそういう理由で使っていることは、全く知りませんでした。

化学の知識がなかった時代から、どうして先人たちは使っていたんでしょうね。

勘かなぁ。とにかくすげーなとしか言いようがない。

魚には、結合組織を作る肉基質タンパク質がほとんどないそうで、筋原繊維タンパク質が6~7割程度、筋形質タンパク質が3~4割程度を占めています。

この2つのたんぱく質は凝固する温度が違います。

沸騰した状態でいれないと、45度くらいの熱で凝固する筋原繊維タンパク質が先に凝固してしまうのに対して、56度くらいにならないと凝固しない筋形質タンパク質が凝固する前に煮汁に溶け出してしまうため、煮崩れします。

ただし、加熱しすぎると全てのタンパク質の凝固してしまいますので、身が硬くなりますので注意しなければなりません。

固い野菜は水から

大根やかぼちゃ、じゃがいもなど、土の中に埋まっているような固い野菜は水のうちから煮て、やわらかくなってから調味料を入れます。

それは、やわらかくなるまでに時間がかかるので、お湯から煮ると、外側は熱湯に触れるためすぐにやわらかくなるのに対して、中の温度がなかなか上がらず、固いまま芯が残ってしまうからです。

冷めるときに味はしみる

食材に熱を加えれば加えるほど組織が壊れ、壊れれば壊れるほど味がよくしみ込みます。しかし一方で煮崩れてしまい、最後にはドロドロになってしまいます。

そこで、短時間加熱して、煮崩れない塩梅で食材の組織を壊し、火を消すことで破壊を止めて、時間をかけてゆっくりと調味料を浸透させる方法がとられています。

温度が高いほうが調味料は食材の方に移動しやすいため、なるべくゆっくりと冷まし、高温を維持したほうが味はよくしみ込みます。

煮物には、分厚く冷めにくい素材の鍋を使うと良いのはそのためです。

なぜたっぷりのお湯が必要なのか

レシピ本をみると、よく「たっぷりのお湯で茹でる」と書いてありますよね。

お湯を沸かすのも時間がかかるし、ガス代ももったいないし、別に少しのお湯でもいいやって思って料理していませんか?

わたしはやっていました。

コマツナやホウレンソウなどの葉物野菜は、沸騰した状態でさっと短時間で茹でる(煮るのではない)のが基本です。

緑色の野菜はクロロフィルという色素を持っていて、上手に茹でると鮮やかな緑色になります。

これは、食材に熱を加えることで組織の間の空気が抜けて密着し、よりクロロフィルが見えやすくなるためなのです。

しかし、加熱し過ぎすぎると、熱で壊れた組織から溶け出した有機酸(酸性)と反応し、緑褐色から茶褐色へと変化してしまいます。

そうならないためには加熱は極力短時間に行うことが重要です。

短時間で茹でるためには、食材をいれてもお湯の温度が下がってしまわないようにしなければなりません。

たっぷりのお湯が必要なのはそのためです。

「どうせ後から沸騰するから関係ないじゃん」って思い、節約のため、極力少ないお湯で行っていた私はたわけ者でした。

また、青菜を茹でる際には塩を加えることが多いですが、私はこれを少し塩味をつけるためだと思っていました。

しかしこれは、塩が酵素の活性化を妨げる働きを持っているので、お湯が参加することで青菜が変色しないように加えているんですね。

理由を知ると、やはり見方は変わりますね。

固い肉はなぜ長時間煮込むのか

肉基質タンパク質を多く含む牛すじ肉などの食材には、長時間煮込む調理法は効果的です。

このタンパク質はコラーゲンを豊富に含んでいます。

長時間煮込んでいくと、コラーゲンはゼラチンやアミノ酸に分解されていきます。

これがやわらかく、うま味のある肉に仕上がる理屈です。

水炊きとは水から煮ること

「水炊き」という料理の由来は、水から煮る調理法からつけられました。

水から煮ることで鶏肉からうまみを抽出し、美味しい出汁を取ることで美味しい水炊きになります。

鶏のうま味をスープにうつしたい時には水から

フォーなどを作るとき、肉のうまみをスープに抽出する必要があるので、水から肉を茹で、スープの味に活用します。

逆に鶏がらスープの素などを使う場合は、沸騰してから肉を入れ、うま味がスープに逃げないようにします。

まとめ:料理は化学だ

やっぱり理由がわかると「じゃあ、やろう!」って思います。

何事もそうかもしれません。

理由もわからずに「やれ!」って言われても、やる気にはなりませんよね。

料理も同じだと思いました。

これからもいろいろ調べてみて、料理上手になりたいなと思います。

日本ブログ村に参加しています。

読んでよかったと思っていただけたらポチっとしてください。

にほんブログ村 子育てブログ パパの育児へ
にほんブログ村