最近、家族4人で映画を観に行くのが楽しみなかずさんです。
私は子どもの頃、家族4人で映画を観に行ったことはありません。
父親が平日休みの業界にいたこともあり、彼とは一緒に遊んだ記憶は一切ありません。
母親はというと、おそらく映画が嫌いだったのだと思います。
本当に小さかった頃は、連れて行ってくれましたが、小学生高学年になった頃から早くも
「一人で行ってきなさい」
って言われてました。
そもそも映画って、早々に友達だけで行くようになる娯楽ですよね。
中学生になる上の子は、そろそろ親と一緒には行きたがらなくなるでしょう。
今だけの、人生の中での一瞬の楽しみ「家族全員での映画鑑賞」
今回は、その上の子が、スタジオジブリ最新作の上映が始まったのを知り、一緒に行こうと誘ってくれました。
事前の広告は一切しない
今回の作品は、事前の広告は一切しないという方針で進んでいたんですね。
私はジブリの最新作が公開されたことをネットの記事で知りました。
勝手に宮崎駿さんはもう作品を作らないと思っていたので、純粋に作品が観られることがすっごく嬉しかったです。
「純粋に作品を楽しんでほしい」との思いから、事前情報をほとんど流さなかったそうですね。
であれば、私ごときがネタバレの感想など書くのはおこがましいなぁ。
ということで、内容以外について感じたことを書いてみたいと思います。
ジブリの敏腕プロデューサー鈴木敏夫さん
スタジオジブリには、アーティストである宮崎駿さんの片腕として、敏腕プロデューサーの鈴木敏夫さんがいます。
語弊を恐れずにいうならば、今回の作品を観てメガヒットにはならないと感じたんじゃないかって気がしました。
もしくは、外部からのちゃちゃが入って、作品そのものをいじらなくてはならないような事態を防ぐため、でしょうか。
※「もののけ姫」は最初「アシタカせっ記」という題名だったそうですが、それではヒットしないということで、題名を変えられたそうですね。
アーティストが表現活動をするのは、どうしてもお金が必要です。
大きな赤字を出してしまったりしたら、今後のスタジオジブリの活動に悪影響を与えてしまいます。
その危険性を感じて、事前の広告活動を一切しなかったのではないかと思ってしまいました。
大手広告代理店を通さないことで、広告費を回収する必要がなくなります。
大ヒットを求められることもありませんので、自由に作品が作れます。
途中でそちらの方向に舵を切ったのかな。
それとも最初からなのでしょうか。
ここ最近の宮崎駿作品は、自由に自分のやりたいことをしているような気がします。
名声を得て、ある程度の制作費が使えるようになって、ようやく大衆受けを考えなくてもよくなったんじゃないかって思うわけです。
どうしても晩年の黒澤明監督と重ねてしまいます。
無粋な推測なのはわかっています。
と同時に、急に思い出したことがあります。
昔、友達に薦められてから大好きになった「ZIGGY」というバンドの唯一の大ヒット曲が「GLORIA」
ドラマ「同・級・生」の主題歌だったわけですが、この曲、生粋の「ZIGGY」ファンにはあまり評判が良くないということを聞いたことがあります。
大衆受けを狙った唯一の曲であり、あれは「ZIGGY」のサウンドではないと。
何故か、そんなことを思い出してしまいました。
一般受けする映画が良い映画というわけではないのでは
スタジオジブリの代表作についてアンケートをとると、必ず上位に名を連ねる「となりのトトロ」
確か、劇場公開した時の興行収入はいまいちだったんですよね。
ジブリではありませんが、社会現象にもなった「機動戦士ガンダム」も初回放送時は人気がなくて、放映日程は当初の予定よりも短くカットされています。
オランダの悲劇の作家「ゴッホ」の絵は生前全く売れなかったのに、今では超高値で取引されるほどの人気です。
興行収入にばかり目がいってしまいますが、作品の価値はそんなところにはない。
そんなものを追いかけるつもりはない。
そんな心境なのでしょうか。
作品にメッセージ性をつい求めがちな観客
「君たちはどう生きるか」⇒「死」をテーマにしているのでしょうか。
題名にメッセージ性が強すぎて、ついつい作品に秘められた宮崎駿のメッセージを読み解かなくちゃならないのではって気になってしまいますよね。
結論、そんなことは気にしなくてよいと思います。
既に鑑賞した方の評価をみたりしましたが、一定数の人が「理解するのが難しい」という反応をしています。
私も同感です。
宮崎駿自身も「わからない」みたいな発言をされているようですね。
正解なんて最初からないんですよ。
人それぞれ、感じたことが正解!!
「理解するのが難しい」というのは「正解がわからなかった」ということなのかなと。
そんなことは考えない方が良いです。
「純粋に作品を楽しんでほしい」というのは、そういうことなのではないでしょうか。
パンフレットが上映期間後の発売
理解するのが難しいストーリー、過去作のオマージュが盛りだくさん
ということで「パンフレットでも買っていろいろ確認したいな」と思って買いに行ったらなんと、
「パンフレットは上映終了後にインターネット上で販売される」とのこと。
徹底してますね。
誰もが情報発信できる時代ですから、パンフレットなんて発売したら、解説動画や記事が溢れそうですもんね。
オマージュ探しが面白いよ
本作品は、過去のジブリ映画を彷彿とさせるようなシーンが溢れていて、ファンとしてはそういった楽しみ方もできます。
- 風立ちぬ
- 火垂るの墓
- 耳を澄ませば
- 紅の豚
- ハウルの動く城
- 借りぐらしのアリエッティ
- 千と千尋の神隠し
- となりのトトロ
- もののけ姫
- 魔女の宅急便
- アルプスの少女ハイジ
覚えているだけでも、これだけの作品を思い起こさせるようなシーンが入っています。
ファンであれば、これだけでも楽しいんじゃないかな。
特にアルプスの少女ハイジの、パンにチーズ(バター?)を塗るシーンは胸熱でした。
ジブリ映画の食事シーンはいつ見ても最高です。
水彩画のような背景にアニメ画が躍動
映像がとにかく色鮮やかで美しかった。
風景画が水彩画のような画風で、さらさらっとしたイメージ。
人物や動くものなどは、いわゆるジブリアニメの画風。
水彩画にアニメキャラを乗せたら浮きそうなんだけど、どういうわけかこれが不自然さがないんですよね。
※コクリコ坂を見返したら、背景が思いっきり水彩画調でした。なんで今まで気にならかったのかな。
手前にピントが合っていて、背景がぼやけている写真とちょっと似たような感覚(ちょっと違うか)なのかな。
とにかく映像が新鮮でうっとりしてしまいました。
3Dアニメより2Dアニメが好き
ディズニーやピクサーといったアメリカのアニメーションは、21世紀初頭から3DCG作品へ移行していきましたよね。
作品そのものは好きなのですが、私は3Dアニメがあまり好きではありません。
だったら、実写で撮ればいいじゃんって思ってしまいます。
恐らく古い人間だからですね。
3Dアニメが当たり前の、私の子供世代には全くわからない感覚なのでしょう。
不気味の谷現象
2004年に「ポーラー・エクスプレス」という3Dアニメーションが初めて公開されたときには、リアルさが不気味だと感じた人も大勢いたそうですね。
最近の3Dアニメとは違って、かなり実際の人間に寄せた画風ですね。
これは不気味の谷現象の一種にあたると思います。
※「不気味の谷現象」とは、1970年に東京工業大学の森政弘教授が唱えたものです。
人間は、ロボットが人間に似始めてくると徐々に好意的な感情を抱くようになるものの、あるポイントに到達すると好意的な感情が減少し、不気味だと感じるようになるというのです。
つまり、ある到達点を過ぎると人間の感情は「不気味の谷」へと落ちていくわけですね。
しかし、本当に人間と見分けがつかないレベルまで似てしまうと、好意的な感情を再び描くようになるのです。
面白いですよね。
めっちゃ似てるけどちょっと違う状態に一番悪い感情を示すのは「物まね」にも通じるものがありそうな気がします。
※ちなみにわたしは「神無月」さんとか「ハリウッドザコシショウ」さんが好きです。
「ポーラー・エクスプレス」はまさに、不気味の谷だったんですね。
今の3Dアニメは、人間に寄せすぎず、あくまでもアニメーションの延長線で作られるようになったことで、成功をおさめました。
いずれにせよ、アニメにリアルは求めなくて良いような気がします。
アルプスの少女ハイジに出てきたような、火にあぶるとトロッととけて、パンにのせるとめちゃめちゃ美味しそうなチーズは存在していなくても、全く問題ないわけです。
3Dアニメが好きではない理由
理由はおそらく、顔の表情と声との差異による違和感じゃないかなって感じています。
日本はアフターレコーディング
日本の場合、アニメの声はアフレコ(アフターレコーディング)です。
映像が出来上がった後に、声優さんが声を収録します。
従って口の動きと声の内容は、ある程度合っていますが、それほど正確ではありません。
しかし2Dであれば、そもそも人間とはかけ離れているため、それほど気にはならないのではないかと思うんです。
海外はプレ・スコアリング
海外の場合、アニメの声はプレスコ(プレ・スコアリング)です。
先に声を収録してから声に合わせて映像を作る手法となります。
3Dのキャラクターの豊かな表情とともに、口の動きと音声が実際と同じようにマッチしていて、まるで実写のように感じられるのは手法のおかげです。
実写に近いからこその違和感
つまり3Dは実写に近いため、映像と声のずれが気になってしまうということだと思います。
アメリカのアニメーションがプレスコで作られたとしても、日本語吹き替えにしてしまえば、結局は音声と映像はズレてしまいます。
これこそが、私が3Dより2Dの方が好きな理由なのだと思います。
まとめ:やっぱりジブリが好き
私は黒澤監督ど真ん中世代ではありません。
10歳の時に観た「影武者」は、当時の私には刺さらなかったんですね。
黒澤さんがお亡くなりになって、過去作品を振り返る特集だったかなぁ。
一番最初に見たのは「七人の侍」。
これにドはまりして、「隠し砦の三悪人」「羅生門」などの名作を次々にむさぼるように観ました。
観たのは昔のブラウン管TVですし、リアルタイムで映画館で観られたら、どんなに感動しただろうなって思ってました。
おそらくは、スターウオーズを最初に観た衝撃より大きかったことでしょう。
そう考えると、宮崎駿さんは私のドストライクなんです。
子ども時代には「未来少年コナン」や「母を訪ねて三千里」で楽しませてくれました。
初めて観に行った映画は「パンダコパンダ」
「ルパン三世カリオストロの城」もリアル視聴ですし、その後のジブリ作品もほぼほぼリアルタイムで鑑賞出来ました。
宮崎駿監督の少し後に生まれ、作品と共に成長できたこと
本当にラッキーでした。
これからどのような活動を考えているのか、いつ引退されるのかわかりませんが、ずっと応援し続けたいです。
ご本人にとっては、余計はお世話でしょうけどね。
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